アジア発最新ファッション

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左から:インドのデザイナーAnju Sharma(アヌージュ・シャルマ)さん、タイのデザイナーJarupatcha Achavasmit(ジャールパット・アーチャワサミット)さん、マレーシアのデザイナーNazleen Noor(ナズリーン・ノール)さん、インドネシアのOscar Lawalata(オスカル・ラワラタ)さん、フィリピンのデザイナーJojie Lloren(ジョジー・ローレン)さん。



2006年12月15日(金)、東京・品川区にある杉野学園ドレスメーカー学院で、国際交流基金主催による、アジアから発信するトレンド、ファッションで知るアジアの今、日本のこれから、をテーマに『ASIA 5 Doreme』ファッションショーが開催された。インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、そしてインドの計5カ国から、当代で最もホットな若手デザイナーが、最新作を披露した。国際交流基金のパンフによれば“発展を続けるアジアにあって、その多彩な文化とグローバルな視点が織りなすファッションに、世界が注目しはじめている”と。インドネシアを代表して初来日したオスカル・ラワラタ(Oscar Lawalata)さん(29歳)は、女優のレギー・ラワラタ(Reggie Lawalata)を母に、アートな環境の中でデザインに目覚め、1998年にEsmodファッション学校を卒業。翌99年には、『ASEAN ヤング・デザイナー・コンテスト』で第二位に入賞。また、去る3月に公開された劇場映画『Banyu Biru』に、Tora SudiroやDian Sastrowardoyoなどと出演している。






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【オスカルさんとのインタビュー抜粋】


Q: デザイナーとしての今現在のコンセプトは?

A: 僕の世代は、とかく伝統文化を古い過去のものと捉えがちです。でも、過去を見ずに未来を築くことはできません。アジアにはアジアのカルチャーがあります。そのカルチャー無しには、何も新しいものを作り出すことはできないと思います。問題は、過去を未来にどのように繋げていくかということです。そこで、僕のコレクションは、伝統文化に根ざしたカルチャーを取り入れ、それらが新鮮な未来文化にもなりうるということを紹介しようと思っています。願わくば、自らの民族を愛するようになって欲しいと強く思っています。ブランド物を着て誇らしげにするのではなく、ね。今は、インドネシア臭のするファッションを身に着けて、誇りに感じる人が少ないですからね。



Q: つまり、ベースにインドネシア文化を積極的に取り入れようと?


A: その通りです。僕はインドネシアのテキスタイルばかりではなく、踊りを観たり、アクセサリーを見たりと、色々なものに関心があります。それらは、姿を変えて発展させることが可能です。今回気付いたのですが、南スラウェシの絹織物から生まれたファッションを日本人のたくさんの方が気に入ってくれました。ただウエスタンなものが良いものだと思う、インドネシア人、特に若者たちの考え方は、もったないと思います。


Q: ところで、映画にも出演でお忙しそうですね?二度目の出演予定は?


A: と言っても、一回だけですよ。誘われたんですよ、監督に。あの時は、たぶん、役柄が合っていて。実際は、自分が演じられるだろうかとの不安もありました。ただ監督がOKと言ってくれて。


Q: 映画の方がデザインよりも難しかった?


A: そうでもないですよ。イマジネーションですからね。この役柄はどのように演じるべきか、っていう想像ですから。服作りも一緒です。ジャワやスラウェシで生まれた素材を、どのように時代に合致させるのか、っていうのが大事です。


Q: インドネシアは何百、もっと細かく分ければ何千という民族文化から構成されています。オスカルさんは、その“インドネシア文化”をだいたい把握しているのでしょうね?


A: 本当のところ、僕はすごく“文化人”ではありません。インドネシアの伝統テキスタイルを全て知っているわけではありません。でも、僕は、実際に自分の目で見て、それらを次の時代へと発展させようとしています。例えばイカット(絣)ですが、イカットを使っていったい何が生まれるのか?イカットの作り手は、素晴しい技術を持っていますが、その素材で何をクリエートしていくのかという点で困窮しています。僕は、そこに、自分の役目を感じています。正直、僕はイカットに関して余り分かっているとは言えませんが、トラディショナルなものから、モダンな時代へと向けて、橋渡し役ができるのではないかな、と感じています。


Q: ところで、今回が初の海外ショーですが、今後も海外でのショーに挑戦していこうと思っていますか?


A: 外国ですか。可能性はありますね。僕は、「Oscar Lawalata」という伝統文化にフォーカスしたブランドと、「Oscar Couture」と言う名の市場トレンドに合わせたブランドの二つを持っています。インドネシアでは、グラマラスなものが好まれますからね。でも、来年は伝統文化により焦点をあてていきたいと願っています。なぜならば、それこそが僕自身だからです。でもね、ビジネスと理想主義とはバランスが必要だし(笑)。今回の訪日で、繋がりもできましたし、また僕のデザインをウエルカムしてくれましたし。機会があれば、東京ファッション・ウイークや香港ファッション・ウイークなどにチャレンジしていこうと思います。でも、基本はアジアです。パリなどは考えずに、まずアジアの文化に根を張りたいと思います。


Q: インドネシアにおけるファッション文化の興隆と政府の対応は?


A: 政府は、伝統工芸品には輸出品として強い関心を持っていますが、残念ながらテキスタイルには余り関心がないようです。インドネシアのデザイナーたちは、政府からのサポート無しに、独自にやらないといけません。バティックはすでに国際化を果たしていますが、イカットや絹製品などは、まだまだです。これらをどのように世界市場に持っていくか、が僕の大きな関心の一つです。


Q: 最後に、一週間滞在(注:東京・京都・桐生など)した日本の印象は?


A: 日本人は日本人であることに誇りを持っているように感じました。日本人は、異文化や異民族と自由に交流し、そしてそこで知った文化をどんどん日本文化に取り入れています。一方でインドネシア人は、自分たちこそ、って思いが強い割には、異文化をきちんと消化できていません。




【山本寛斎さんとのインタビュー抜粋】

ファッションショーの会場には、イベントプロデューサーとしても著名な山本寛斎さんの姿も。早速、アジアの若手デザイナーの作品について直撃インタビュー。

Q: アジアのデザイナーによるファッションショーは今回初めてご覧になったのでしょうか?

A: あぁ、そうです、そうです。

Q: ご感想は?

A: いやー、なかなか良いお仕事してらっしゃると思いましたね。

Q: どうでしょう、やがて日本市場にも入ってくるような予感が?

A: しますね。とても才能があるなという感じがしました。



【参考URL】

オスカル・ラワラタさんが首都ジャカルタに新ブティックをオープン予定

https://gbitokyo.seesaa.net/article/200702article_1.html

この記事へのコメント

tombatik
2006年12月17日 20:30
ASIA5皆さん素敵でした。Oscar様のクバヤ・トラディショナル風を思わせる襟元のデザインもインドネシア好きにはグッとくるものがありました。また、Jumputan(絞り染め)も現代的でありながら、アジア人なら何だかホッとするようなモチーフで素晴らしい。映画にも出演されているようで、幅広い才能に今後の活躍が見逃せないお方ですね。。Oscar様、大注目っ!!

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