インドネシアのコマ(独楽)文化(No.3)
19000余の島々から構成されるインドネシア共和国は、まさに“コマ大国”です。そればかりか、“コマ発祥の地”と命名しても過言ではありません。ここでは、インドネシア文化宮(GBI)が数年間を費やして収集した同国の豊かなコマ文化を紹介します。
上の画像は、インドネシア国内各地のコマです。計15点。画像の上左側から順に:ジャワ島ブタウィの『Ondel-Ondel』(高さ約21cm、最大直径約9cm、重さ約376グラム)、ブタウィの『Monas』(高さ約17cm、最大直径約7cm、重さ約190グラム)、西ジャワ州ガルットの非競技用のコマ(高さ約10cm、最大直径約5.8cm、重さ約102グラ)、東ヌサトゥンガラ(NTT)州東フローレス県ソロール島のアカシア材のコマ(高さ約10.5cm、最大直径約6cm、重さ約138グラム)、NTT州アロール島のコマ(高さ約10cm、最大直径約5.5cm、重さ約74グラム)。
画像の中左側から順に:スマトラ島パダンのコマ(高さ約16.5cm、最大直径約7cm、重さ約85グラム)、カリマンタン(ボルネオ)島のダヤク民族の鉄木製コマ(直径約10cm、高さ約6cm、本体部厚み約3.5cm、重さ約410グラム)、カリマンタン島のダヤク民族の鉄木製コマ(直径約8cm、高さ約6cm、本体部厚み約3cm、重さ約184グラム)、ジャワ島チアンジュールのコマ(高さ約8cm、最大直径約4.5cm、重さ約32グラム)、そしてスラウェシ島北端のメナドのコマ(高さ約9.5cm、最大直径約5.5cm、重さ約88グラム)。
画像の下左側から順に:ロンボク島の木の実製のコマ(高さ約12.5cm、最大直径約3cm、重さ約5グラム)。スマトラ島北端アチェのコマ(高さ約10cm、最大直径約5cm、重さ約86グラム)。スマトラ島東部海域のバンカ・ブリトゥン州のコマ(高さ約8cm、最大直径約7cm、重さ約169グラム)。ジャワ島東ジャワ州ラモンガンのコマ(高さ約10.5cm、最大直径約6.5cm、重さ約180グラム)。ジャワ島ジョグジャカルタの竹製コマ(高さ約17cm、最大直径約6.5cm、重さ約75グラム)。
これは、鉄木製の超巨大コマです。カリマンタン島(旧ボルネオ島)に暮らすダヤク民族の一部は、今日でも独楽(コマ)遊びを伝統文化として維持しています。特に、東カリマンタン州のマハカム川中上流域で見ることができます。これは、鉄木(アイロンウッド)を削って作った超巨大なコマです。これほどのサイズの鉄木コマは非常に珍しいものです。サイズは直径が約37cm、最大厚みが約12cm。重さは約4.2kg。手で回して回転時間を競い合います。
インドネシア各地のコマ。右端の色コマは、中部ジャワのクブメンのものです。臼型のものは米倉に吊るして豊かな収穫を願うお守りとして使用し、傘型のものは結婚式の晴天を祈るお守りとして使われています。コマは、遊戯用としてばかりではなく、通過儀礼のアイテムとしての機能も持ち合わせています。
首都圏ブタウィ民族のコマです。竹製でスカートを付けた台座も付いています。高さは約30cm(台座を含めると約48cm)、最大直径が約14.5cm、重さは約1.3kgです。
カリマンタン島のダヤク民族のコマです。鉄木製で、重さはなんと7.2kg。直径は約39.5cm、最大厚みは約12cm。両手で回転させ、回転時間を競います。
左はジャワ島の古都ジョグジャカルタのコマで、竹製です。本体の長さが約9.5cm、直径が約9cm、重さはおよそ150グラム。このコマは、宮崎県の神代独楽と酷似しています。“黒潮文化”が結びつけたのでしょうか?右は、マラッカ海峡に面した、スマトラ島リアウ州ブンカリス県のコマです。直径が約13.5cm、最大厚みが約10.5cm、重さはおよそ430グラム。底部に、円形の金具が埋め込まれています。ブンカリス県では毎年、マレーシアやシンガポールからも達人がやってくるコマ国際大会が開催されています。
スマトラ島北端のアチェの伝統コマです。敬虔なイスラムの土地柄から、黄(王族)、緑(イスラム聖職者)、そして赤(一般庶民)を表象する三色が使われています。ピディ県のKembang Tanjong村で製作されました。作者はムスマルワン・アブドゥラ(Musmarwan Abbdullah)さん。素材はアチェ語でBak Sireun/Siron、すなわち槿(むくげ)の木です。サイズは高さが約12cm、最大直径が約7cm、重さはおよそ200グラム。
アチェの伝統コマ(独楽)です。北アチェ県のAlue ie puteh村で製作されました。作者はムハマッド・タエブ(Muhammad Thayeb)さん。素材はアチェ語でBak Maneと呼ばれる堅い木です。別名、Kayu Semantokとも言います。サイズは高さが約21cm、最大直径が約13.5cm、重さはおよそ1.5kg。
アチェの伝統コマです。サイズは高さが約13.5cm、最大直径が約8.5cm、穴の大きさは直径約1.2cm。重さはおよそ61グラム名前は“Gaseng Boh Koh(ボーコ独楽)”といいます。大アチェ県のMeunasah Papeun Lamreung村で製作されました。作者はヤフヤ・チュチュム(Yahya Cucum)さん。素材はアチェ語でBoh koh、すなわち椰子の殻(インドネシア語でBuah Batok)です。回転で生まれる音を楽しみます。
【関連ブログ】
インドネシアのコマ(独楽)文化(No.1)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200703article_1.html
インドネシアのコマ(独楽)文化(No.2)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200703article_2.html
インドネシアの独楽(コマ)展のお知らせ
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200612article_4.html
インドネシア独楽(コマ)展の予定
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200611article_1.html
町田良夫の「日本の独楽 世界の独楽」
http://www.tokorozawa.saitama.med.or.jp/machida/
日本独楽博物館
http://www.wa.commufa.jp/~koma/
独楽大図鑑
http://www.fsinet.or.jp/~eohashi/
この記事へのコメント