インドネシアのコマ(独楽)文化(No.9)Gasing Indonesia

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インドネシアのコマ(独楽)文化シリーズの「インドネシア独楽(コマ)展の予定」
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200611article_1.html
で紹介した、“インドネシアで最も重いコマ”の製作者で、2003年にPERGASI(Persatuan Gasing Seluruh Indonesia・全インドネシア独楽協会)を創設したアグス・MD(Agus MD)氏をバンカ・ブリトゥン(Bangka Belitung)州に訪ねた。バンカ島の、州都パンカルピナン(Pangkalpinang)に暮らすアグス氏は、来る7月末に同地で開催予定の『第四回インドネシア独楽祭り(Festival Gasing Indonesia)』の準備に追われていた。観光文化省の伝統玩具課が音頭を取る同祭りは、2005年に首都ジャカルタのラグナンで産声をあげ、翌年会場をスマトラ島の南端に位置するランプン州に移した。そして同2006年には、ランプンに加え、リアウ諸島州のタンジュンピナン(Tanjungpinang)でも大規模なコマ展示会&競技会が開催された。今年は、パンカルピナンの後、8月にはスラウェシ島のマカッサル、そして9月には首都ジャカルタでも実施される予定だ。



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これは、2003年12月、インドネシア版ギネス機関である「MURI(インドネシア記録博物館)」によって公認された“インドネシアで最も重いコマ”。バンカ島のバンカ県ペタリン郡で作られた。材料はテングリス(Tenggeris)と呼ばれる堅い木。サイズは高さと最大直径がそれぞれ70cm。重さは140kg(MURIの認定書には間違って70kgと書かれてしまったそうだ)。頭囲は約91cm、腰周りは約2.1メートル。二人が一週間をかけて作製したとのこと。回転させるために必要な要員は5名とか。ちなみに、“インドネシア最大のコマ”は、ジャワ島の中ジャワ州のクラテン(Klaten)にあるそうで、サイズは“ものすごく大きい”と噂されているが、実寸に関する情報は未だ得られていない。右端がアグスさん。


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MURIの認定書


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“インドネシアのコマ文化中興の祖”的存在のアグスさん。1960年8月17日、バンカ島のジェブス(Jebus)生まれ。四人の子供の父。『毎日毎日、コマのことしか考えていない』と言うほどのコマ好き。


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バンカブリトゥン(Babel)州のコマ。大きく分けて、“心臓型”、“リンゴ型”、そして“壺型”に分類される。バンカ島の心臓型をベースに競技用の公式コマを作り上げた。


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アグスさんの奥さん(左端)は『コマ文化の復活に人生を賭けている夫を尊敬する』と。末娘も父のコマ投擲に目を丸くしている。


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2002年にバンカブリトゥン(Babel)州で開催された「州コマ競技会」で見事優勝したムクリ(Mukri)さん(1967年6月1日、中バンカ県のクレラック生まれ)。以降、DMDI(Dunia Melayu Dunia Islam)大会で準優勝、2003年にはリアウ諸島州のタンジュンピナンで行われた地域大会で準優勝。名実共にバンカブリトゥン州の独楽チャンピョン。


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2006年8月26-27日に、スマトラ島最南端のランプン州の州都バンダルランプンで開催された『第五回インドネシア伝統スポーツ祭り(Festival Olahraga Tradisional)』。この会場で、バンカブリトゥン生まれの巨大コマが公開された。


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『第五回インドネシア伝統スポーツ祭り(Festival Olahraga Tradisional)』で披露された、“インドネシアで一番重いコマ”。バンカブリトゥン州から運ばれ、独立記念日(8月17日)に合わせて、インドネシアの国旗に準じて紅白に塗られた。

アグス氏を中心にPergasiは、コマを公式の「スポーツ競技種目」にするため、コマ文化の普及と啓蒙、そして州政府・中央政府との折衝を進めている。Babel州では、すでに小学校、中学校などで課外授業として採用している学校も少なくない。インドネシア文化宮(GBI)は、Pergasi並びにバンカブリトゥン州政府との共催で、2007年8月にも『バンカブリトゥン州小中高生コマ競技大会』を開催する予定です。


【参考ブログ&ホームページ】


インドネシアのコマ(独楽)文化(No.1)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200703article_1.html

インドネシアのコマ(独楽)文化(No.2)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200703article_2.html

インドネシアのコマ(独楽)文化(No.3)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200703article_3.html

インドネシアのコマ(独楽)文化(No.4)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200703article_4.html

インドネシアのコマ(独楽)文化(N0.5)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200703article_5.html

インドネシアのコマ(独楽)文化(N0.6)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200703article_6.html

インドネシアのコマ(独楽)文化(No.7)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200703article_7.html

インドネシアのコマ(独楽)文化(No.8)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200703article_9.html

インドネシアの独楽(コマ)展のお知らせ
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200612article_4.html

インドネシア独楽(コマ)展の予定
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200611article_1.html

町田良夫の「日本の独楽 世界の独楽」
http://www.tokorozawa.saitama.med.or.jp/machida/

日本独楽博物館
http://www.wa.commufa.jp/~koma/

独楽大図鑑
http://www.fsinet.or.jp/~eohashi/

バンカブリトゥン諸島州政府公式Website
http://bangkabelitungprov.go.id/

インドネシア文化宮(GBI)
http://clik.to/GBI

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