東京テキスタイル研究所でイカット作品展(Pameran Tenun Ikat di TTI)

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東京の京王線明大前駅近くにある東京テキスタイル研究所(TTI=Tokyo Textile Institute)で、2008年3月24日(月)~26日(水)、『イカットクラス展』が開催される。これは、一年間もしくはそれ以上同研究所でイカット(絣)織りを勉強した生徒たちの“成果”を展示するものだ。日本で本格的なイカット織りを学べる場所は、おそらくこの研究所をおいて他にはないだろう。イカットクラスの授業最終日にあたる3月19日、メトロTVの取材で、同研究所を訪問して、草木染を主体とする見事な染と、日本女性ならではの丁寧な織りに感動した。


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受講生が持ち寄った“成果”を皆で講評。左端は富田和子講師。


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K子さんは五作品を持ち込んだ。「一年に一枚の割合で織ってます」。これまでにインドネシアのバリ島、スラウェシ島、ティモール島、アロール島などへ出かけて、本場のイカットをじっくり見てきただけあって、講師の富田先生も「初めての作品も出来が良かった」と賞賛。


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N子さんの力作は、あのバリ島トゥンガナン村の世界的に有名なダブルイカットと肩を並べる出来ばえ。手前がバリ島の本物のダブルイカット、そして後ろ側が、N子さんの作品。「夜なべして、ようやく4~5cm程度進みます。一年かけて、ようやく半分」と。受講後三年間、経絣を学び、四年目に経緯絣に挑戦したそうです。「元々、織りを20年ほどしていました」


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インドネシアのイカット産地を訪ねたことはないが、草木染が大好きなM子さんは、試行錯誤を繰り返しながら、自然色を生みだしている。「これは玉ねぎの皮、そしてアカネ、キハダなどで染めました」と。

もう一人のN子さんは、イカット作りの勉強を始めて一年目。「アロールのテルナテ島へ行ってきましたが、若い女性たちが織っていて、その素晴らしさに感動しました」と。ほうじ茶やターメリックを染色材にした作品を披露。

Sさんは、10年ぐらい、手織りを仕事にしてきたが、この一年、初めてイカットにチャレンジ。「一年間で、ここまでの出来。すごい」と、富田講師も感動の作品をお披露目した。

Hさんは、すでに四年間イカット教室を受講したベテラン。「フローレス島やスラウェシ島へ行きました。やはり本場のイカットは素晴らしいかった」と、二十数年前にインドネシアを訪れて以来のイカットファン。ブログを通じて、染色素材や作品を紹介している。参照:http://mihohorie.com/index.html



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講師の富田和子さんは、同研究所で14年間、イカット染め&織りを教えている。インドネシアのイカット産地もくまなく訪れた経験を持つ。スマトラ島、スラウェシ島のトラジャ、カリマンタン島、NTT(東ヌサトゥンガラ)州では、フローレス島、ソロール島、アドナラ島、レンバタ島、アロール島、スンバ島、サブ島、ロテ島、ティモール島を、さらに東ティモールも。「かすりやイカット作りは、とても時間がかかる作業ですが、興味ある人が増えていって欲しいと願っています」。インドネシアのイカット文化が日本市場に入ってくるためには「日常生活で使えるような、例えばジャケットなどが良いのではと思います。派手なモチーフや色使いではなく、比較的地味で天然染料を使った素材が合うと思います」と。この日、富田さんは、アロール島産のイカットを用いジャワで縫製してもらったジャケトを着用。「これを着ていると割と評判良くて、日常生活で使えるイカット製品ならば、日本でも売れると思います」。近く、イカットを始め、バティックなどを素材に作った普段着の展示即売会の計画もあるとか。


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【イカットクラス展の光景】(画像は富田和子さん提供)


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『イカットクラス展』については、以下の東京テキスタイル研究所のホームページを参照してください。同研究所では、イカット展の他にも、四月に入ると、織物展、ニードルワーク展、かすり展なども行われる予定です。
http://www.tokyo-textile.co.jp

また、イカット織り教室については以下のURLをご覧ください。
http://www.tokyo-textile.co.jp/08ikat.html


富田和子さんのHP:インドネシアの絣・イカットを訪ねて Ikat & Indonesia
http://homepage3.nifty.com/tomikat/index.htm

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