ジャワ舞踊家冨岡三智さんが伝統芸能交流Budaya Tari Jawa & Kuil Jepang

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冨岡三智さんは、インドネシア国内でも“太鼓判”を捺されたジャワ舞踊家。長くスラカルタのインドネシア国立芸術大学(STSI)に学び、外国人でありながら、ジャワの伝統舞踊を、インドネシアのメディアが激賞するまでに修得した。彼女は、この7月~8月の一ヶ月間を再びインドネシアで過ごしているが、聞くところによれば、8月6~10日に、スマトラ島のリアウ州で開催される第6回現代舞踊見本市(PASTAKOM=Pasar Tari Komtemporer)にも参加、舞いを披露するとのことだ。

冨岡さんは、昨年2月、「能の表現と能を取り巻く文化」を企画し、日本の能をインドネシアで上演した。そして今秋、インドネシアの舞踊家やワヤン・ベベル(影絵芝居の絵巻物)の美術家などを日本へ招聘して、大阪の高津宮で舞踊ワークショップを開き、また島根県では、石見神楽とジャワ舞踊の共演を計画している。詳細は、冨岡さんのブログ&ホームページを参照していただきたいが、概略以下のようなスケジュールだ。


2008年9月2日(火)大阪・高津宮(高津神社)で舞踊ワークショップ 16:00~18:30
2008年9月7日(日)島根県・湊八幡宮で石見神楽+ジャワ舞踊


上の画像の撮影は:大坪紀子(注:冨岡さんのブログから引用)


日本人でありながら、ジャワやバリの伝統舞踊を極めて高いレベルまで修めた知人は少なくない。同様に、ジャワ&バリのガムラン音楽を地元の人並に演奏する日本人も少なくない。かつて韓国のソウルを訪ね、ようやくバリ&ジャワ舞踊を学び始めた大学生らと会ったが、残念ながら、指導しているのは、一年間ほどインドネシアに語学留学し、課外授業で舞踊をちょっと齧っただけの元留学生だった。
今やインドネシアに滞在する韓国人は、日本人のほぼ四倍。しかし、現地の文化に対する関心は、日本人のそれに比べて極めて低いと言わざるをえない。かつての日本人もそうであったが、初期段階では、やはりビジネス・オンリーなのか?やがて、韓国にもインドネシア舞踊の、インドネシア伝統音楽のプロが生まれてくることを期待したい。
さらに一言付け加えるとすれば、ジャワやバリを超えて、その他のエリアの伝統舞踊や、伝統音楽などにも関心を持ち、それらを極めようとする日本人の登場にも期待したい。例えば、アチェには伝統打楽器のラパイがあり、サマンと呼ばれる集団舞踊がある。そしてパプアにはティファと総称される砂時計型の太鼓があり、ダイナミックな舞踊も印象的だ。また、全世界でロテ島にしか存在しない棕櫚椰子の葉製のササンドと呼ばれる弦楽器があるが、それは今や風前のともし火、消え去る運命に直面している。後継者がいないことがその遠因だ。今ならまだ間に合う。オリジナルのササンドを作ることができる古老はまだいる。演奏家が不在なだけだ。言い換えれば、サンサンドの世界的演奏家を目指そうとすれば、決して不可能なことではない。誰も修得しようとする者がいない現状からすれば、日本人であろうと、ササンド演奏を極める道は開かれている。
インドネシア各地の舞踊や音楽を挙げ始めたらきりがない。ヌサンタラの到る所に、素晴らしい伝統舞踊と音楽が息づいている。テキスタイル・ファンの場合、例えば、それがイカット(絣)の場合、まさにインドネシアの全土を回って、各地のイカット文化に接している方がいる。バティック文化についてもそれが言える。しかし、舞踊と音楽はどうか?まだまだジャワとバリが主流だ。
願わくば、ジャワ舞踊の冨岡さんのように、例えば、アチェ舞踊、そしてパプア舞踊で活躍する日本人がやがて出現することだ。そしてササンド演奏家も。。。


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ロテ島で生まれたササンド。サムさん(右)は数少ないササンドの作り手。


冨岡さんのブログ:http://javanesedance.blog69.fc2.com/
冨岡さんのホームページ:http://www.gojo.ne.jp/michi/

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