アロール島で潜る(1) Diving di Pulau Alor & Pantar, NTT(1)
審美眼とはそもそも相対的なもので、一番綺麗とか、二番目に綺麗などの判断は、とかく恣意的なケースが多い。そのことは人の世で言えば、ミスコンなどもそうで、なぜあの人が一位で、なぜこの人は二位なのか、個々の美意識には大差がある。いわんや、どこの海底公園が世界中で一番美しいのか?----などといった、その検証作業そのものが、天文学的な広範なエリアにまたがる場合、まず不可能だ。そこで、ちょっと謙虚な姿勢を見せつつも、実は「ここが一番に決まっている」との根拠のない過剰な自信を背景に、確信的に「ここは世界中で二番目に美しい場所」と表現したりするケースもある。この場合、だいたい、それではどこが「一番」なのかの明確な説明を避けている。
ヌサンタラ(インドネシア群島)には、世界的な規模の熱帯珊瑚礁が各地に存在している。そしてそのいずれもが「ここは国内ばかりか世界で一番奇麗なサンゴ礁」と主張している。最西端のアチェ州のインド洋に浮かぶウェ(Weh)島のイボイ(Iboi)やガパン(Gapang)、最東端のパプア州の西端付近にあるラジャ・アンパット(Raja Empat)などは、まさにティピカルで、各々が「世界一」の美しさを誇りあっている。さらに、スラウェシ島北端の北スラウェシ州の州都マナドの沖合に浮かぶブナケン(Bunaken)島周辺も、「世界随一」を高らかに喧伝する。
筆者の知人に、インドネシア各地の海に潜った体験を持つ学者がいる。彼の弁によると『スラウェシ島のブナケンやフローレス島、首都ジャカルタの北に浮かぶプロウ・セリブ、それからバリ島やロンボク島、そしてアロールなどで潜ってきましたが、アチェのウェ島の珊瑚はたぶん一番じゃないかな』と。シュノーケリングしかできない筆者も、アチェからパプアまで、インドネシア各地で、浅瀬で海底を覗いた体験を持つが、批判を恐れずに言えば、インドネシア国内で言えば、アロール(Alor)島&パンタール(Pantar)島の海が“一番美しかった”ような印象を持つ。もちろん、シュノーケリングのレベルで見た範囲のことで、深い場所のことは皆目分からない。で、世界ではと言えば、その昔訪れた、ソロモン諸島(Solomon Islands)のニュージョージア諸島のラグーンで見たサンゴ礁群が、何時間見ていても飽きないという意味で、一番印象的→一番魅力的→一番綺麗だったような気がする。
アロール島は、バリ島からティモール島のクーパンへ飛び(約1時間20分)、乗り換えて県都カラバヒ(Kalabahi)へ約45分。
アロール島とパンタール島の間に広がる海洋公園には、計18ヵ所のダイビングスポットが知られている。県政府観光局のデータによれば、それらは:(1) Baruna’s Point、(2) Never–Never wall、(3) Cave Point、(4) Barrel Sponge Wall、(5) Mola–mola Point、(6) Night Snacks、(7) Alor Expree/Alor Dreaming、(8) Rocky Point、(9) Three Coconuts、(10) Moving Picture、(11) Eagle Ray Point、(12) Rahim’s Point、(13) Tuna Channel、(14) Anemone Country、(15) Sharks Reeway、(16) Octopus Garden、(17) Captain’s Choice、(18) The Refrigerator。
(注)ダイビングスポットの最新情報として計26ヵ所との説もある。
http://www.strafish.ch/dive/alor.html
パンタール島東海岸でAlor Diversを経営するジル&ネヤさん。
http://www.alor-divers.com/
で、話は東ヌサトゥンガラ(NTT)州のアロール県(Kab.Alor)に移るが、アロール県のアロール島とパンタール(Pantar)島の間に展開する海底珊瑚は「世界で二番目に美しい」と、世界的に有名な旅行ガイドブックが書いている。なぜ“二番”なのか、ではどこが“一番”なのかは依然不明だが、この記述の刷り込みが強かったためか、上述のようにな個人的かつ独断・偏見の印象を持っている。
いずれにせよ、アロール県の海底公園がとんでもなく美しいことは、過去数年の間に、この地に、フランス人一家が二組、そしてドイツ人一家が一組、自己資金を投じて、ダイビングリゾートをオープンしたことからも窺い知れる。
これから始まる『アロール島で潜る』シリーズでは、アロール島の西隣に位置するパンタール島東海岸に「アロール・ダイバーズ(Alor-Divers)」を立ち上げた、フランス人夫婦ジル(Gilles)&ネヤ(Neya)から提供を受けた画像で、“世界で二番目に美しい珊瑚海”を紹介する。
【アロール県小事典】
面積(陸地): 2.864,64㎢ (領海):10.773,62㎢
海岸線 : 287、10㎞
島嶼数 : 15
位置:ヌサトゥンガラティモール州東部
北 フローレス海
南 オンバイ海峡
東 selatan wetar、RDTL海峡
西 アロール海峡
人口統計
人口(2005年): 174.608人
男性: 85.571人
女性: 89.037人
世帯数: 39.528世帯
人口密度: 60人/㎢
経済成長率(1990年‐2000): 1,31%
【参考ブログ】
第7回アロール県エキスポ画像リポート(2)Expo Alor ke-VII(2)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200808article_2.html
第7回アロール県エキスポ画像リポート(1)Expo Alor ke-VII
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200808article_1.html
第7回アロール・エキスポ情報(Expo Alor ke-VII)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200807article_2.html
オスカルさんの新ブティクがオープン(Butik Oscar Lawalata Culture)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200805article_12.html
アロール県エキスポでオスカルさんのファッションショー
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200708article_5.html
第6回アロール県エキスポで日本の竹製品を紹介
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200708article_4.html
第6回アロール・エキスポ情報(Expo Alor ke-VI)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200706article_11.html
アロール県がタマンミニにパビリオンをオープン
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200704article_4.html
Mr.おじいさん&Mrs.おばあさんコンテスト
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200611article_5.html
アロール島でミスコンを主催
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200611article_4.html
世界で二番目に美しい海中公園アロール島
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200611article_3.html
第5回アロール・エキスポで日本の絣&着物を展示
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_7.html
第5回アロール・エキスポで寿司を握る
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_6.html
アロール島事典(日本語)
http://alor.hp.infoseek.co.jp/
アロール県政府公式ホームページ(インドネシア語)
http://www.alorkab.go.id/
アロール県Website(英イ語)
http://www.alor-island.com/
インドネシア文化宮(GBI)活動記録
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_2.html
インドネシア文化宮活動記録(インドネシア語)Kegiatan GBI
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_4.html
「じゃかるた新聞」の「アロール島探訪」シリーズ記事
2002年5月28日 じゃかるた新聞掲載
アロール島探訪(1) 海辺で紡ぐイカット 伝統手法で民力向上
http://www.jakartashimbun.com/pages/alor01.html
2002年5月29日 じゃかるた新聞掲載
アロール島探訪(2) 連帯感を生む踊り 木に繋がれたブタ
http://www.jakartashimbun.com/pages/alor02.html
2002年5月30日 じゃかるた新聞掲載
アロール島探訪(3) ダイバー憧れのサンゴ礁 海の男が差し出す魚と酒
http://www.jakartashimbun.com/pages/alor03.html
2002年5月31日 じゃかるた新聞掲載
アロール島探訪(4) 海を渡ってきた銅鼓 今も生活に溶け込む
http://www.jakartashimbun.com/pages/alor04.html
2002年6月1日 じゃかるた新聞掲載
アロール島探訪(5) 島の文化を全国に宣伝 村へ戻ろう運動を展開
http://www.jakartashimbun.com/pages/alor05.html
Alor Divers(パンタール島)
http://www.alor-divers.com/
la P’tite Kepa(ケパ島)
http://www.la-petite-kepa.com/
Dive Alor(アロール島)
http://www.divealor.com/
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