今日からバリ島『LIKE・A・BALIJINウブドの達人展』 (Pameran Foto Bali)
期間三ヶ月間の展示会というものは、一般的には長期に分類されるだろうが、志だけが資本のインドネシア文化宮(GBI)にとっては“普通”だ。これまで10年間に50タイトル以上ものインドネシア文化紹介展示会を開催・実施してきたGBI活動記録から見ても、三ヶ月間の展示は標準。2004年末に起きた、あのスマトラ島沖巨大地震(アチェ津波)の直後の翌年1月からは、8ヵ月間、アチェに固執した展示会を続けた。東京以外の都市を含めれば一年以上のロングランで、アチェをテーマに各種展示会を行った。その後も継続してアチェをテーマに据えた文化展を実施している。また、毎年12月26日のアチェ被災追悼文化イベントも行ってきた。だが、年々歳々のごとく、世の関心は加速度的に薄れてきている。
それには訳がある。アチェ地震・巨大津波が起きるまでは、日本はもちろんのこと、世界も、スマトラ島の北端で起きていた政治悲劇に無関心であった。それは日本政府とて、そうだった。ところがどうか。未曾有の自然災害が起こると、猫も杓子もの勢いで、官民あげて、我先にとアチェへ向かった。そして想像を絶する、驚異的な注目が、一般社会からこの被災に集まった。そのことは、日本赤十字社が自ら吐露しているように、“空前絶後”の義援金が同社に集まったことにも垣間見れる。しかし、援助活動や復旧・復興プロセスが一段落すると、我先に、アチェから“撤退”した。すごく可哀想なアチェには人道的に関心は持つが、普通に可哀想なアチェ史には関心を持てなかったのだ。あるいは、義援金を使った復興プロジェクトでしっかりと稼いだから、もういいのか。要は、再び被災以前のアチェ認識に戻っただけか。
で、今日から三ヶ月間、漫画家で写真家の玉地俊雄さんの作品を展示する『LIKE・A・BALIJINウブドの達人展』が始まる。この展示会は“普通”でありそうで“Tidak biasa(普通じゃない)”。少なくとインドネシア文化宮にとっては。と言うのも、GBIはこれまでバリ島に関する文化展を、意識的に無視してきたいきさつがある。バリ島トペン(仮面)展や、バリ島をテーマに据えた絵画展などは実施した経験はあるが。なぜか?一言で言えば、バリ島は、これでもかこれでもか、といった頻度で、JALがデンパサールに飛ぶ以前から、日本国内で十分紹介されてきたからだ。そのことはジャワ島の古都ジョグジャカルタなどについても言える。
筆者は、バリ文化もジャワ文化も大好きだが、この二つの地域の文化アイデンティティだけが“ヌサンタラ(インドネシア)”文化とは考えていない。両者がヌサンタラ文化を“代表”したり“象徴”したりすることは、国際社会との繋がりの深さや、その人口集中度などからの視点で、分からないこともない。要は、筆者は“ヌサンタラとは一体何ぞや?”の思いで、全インドネシアを対象にした文化紹介に努めている。まさにサバン(アチェ)からメラウケ(パプア)、ミアンガス(北スラウェシ)からロテ(東ヌサンタンガラ)までの視点からだ。
世が、バリ島やジャワ島の文化を一生懸命紹介しているのならば、僕らは、それ以外のマイナーとされる地域こそ紹介していこうとの思いからだ。その志から、最西端のアチェから、そして最東端のパプアから画家を招聘し、絵画展を開いた。たとえ誰も鑑賞に訪れてくれなくても、開催にこそ意義があると信じた。それは間違いではなかった。今、そのヌサンタラの両端にいるアーティストが、それぞれの地で、東京で個展を開いた体験を一つの“自信”に、地域のアイデンティティ再確認の創作活動に専心している。
そして、今回、久しぶりにバリ島に戻った。玉地さんの“バリ島熱”が琴線に触れたからだ。個人でも必死にあるエリアに想いを寄せる人々がいる。玉地さんとバリ島の関係もその一つの好例だろう。それはたとえ個人レベルであろうと、日本インドネシアの50年史の一齣を確実に実践している。外交とは、官と官だけでなし得るものではないことは、歴史が証明している。個の役割がどれほど大きかったことだろうか。その意味で、今回の展示会の主題から個人名を外さなければならなくなったことは悲しい。個を除外する社会は全体主義に他ならない。
さあ、バリへ!今日から高田馬場の片隅の小さなギャラリーはバリに染められる。
【名称】 LIKE・A・BALIJINウブドの達人展(Pameran Foto Ubud-BALI)
【期間】 2008年11月15日(土)~2009年2月14日(土)11:00-18:00
但し日曜・祝日、並びに以下の土曜日がお休みとなります。11月は22日(土)、12月は13日と27日の各土曜日が休み、明年1月は17日と31日の各土曜日、そして2月は7日(土)が閉宮。また、年末年始は、12月27日~1月9日が休みとなります。さらに、大雨や大雪などの天候状況によって、また取材活動に伴って、事前通告無しに、閉めることもありますので、予めご了承お願い致します。
【主催】 インドネシア文化宮&玉地俊雄
【後援】 外務省(日本インドネシア友好年事業認定)、メトロTV東京支局
【場所】 インドネシア文化宮(GBI) JR高田馬場駅より徒歩約6分。東京富士大学図書館前正門の向かい側のビル1階(添付地図参照)
【入場】 無料
オープニング(2008年11月15日(土)12:00~13:00)は、バリ舞踊家の芳野未央(Yoshino Mio)さんによるソロ舞踊。演目は:“Panyambrama(歓迎の踊り)”と“Margapati(森の王の踊り)”。
【インドネシア文化宮(GBI)のロケーション】東京都新宿区下落合1-6-8 TEL: 03-5331-3310 or 03-3360-9171
【参考ブログ】
インドネシア文化宮(GBI)活動記録
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_2.html
インドネシア文化宮活動記録(インドネシア語)Kegiatan GBI
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_4.html
観てから視る舞姫スリビダニ(バリ島写真展)Pameran Foto Penari Ubud Bali
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_17.html
11月15日からLIKE・A・BALIJINウブドの達人展スタート
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_15.html
LIKE・A・BALIJINウブドの達人展(Pameran Foto Ubud-BALI)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_4.html
芳野未央バリ舞踊公演&玉地俊雄バリ島写真展(Tari Bali Mio Yoshino)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_9.html
写真家 玉地 俊雄[紫煙のゆらぎ]
http://plaza.rakuten.co.jp/balitama/
社団法人日本漫画家協会・展覧会のお知らせ
http://mankyo1.seesaa.net/
アジアンスマイル
http://www.nhk.or.jp/asiansmile/
http://www.nhk.or.jp/asiansmile/next/
ティルタサリ(tirta Sari)Web
http://www.peliatan.com/tirtasari/
ユリアティハウスの家族とスタッフの紹介です
http://members.at.infoseek.co.jp/yuliati_house/keluarga.htm
バリ島ダンスの花道
http://www.his-balifreak.com/balifreak/art/dance/03bidani.html
You Tube
http://jp.youtube.com/watch?v=cKWzq6ZeU3w
BALI Legong Kuntir (Tirta Sari) 2/2 [GAMELAN]
http://jp.youtube.com/watch?v=EUEmueNOnZU
BALI Legong Lasem (Tirta Sari) 2/3/vol.1 [GAMELAN
http://jp.youtube.com/watch?v=8z2Oscts_24
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