アロールの昔の姿を画像で偲ぶ(1) Alor di masa lalu(1)
太平洋戦争の初期、豪州と米国の“分断”を意図し、日本軍はティモール島(Pulau Timor)の占拠を実行した。同島の西半分は、当時オランダ領、そして東側がポルトガル領ティモールだった。そして、そのティモール島攻略作戦部隊は、アロール海峡(Selat Alor)を経由して同島に向かった。おそらく、これが日本軍が最初に見たアロール島(Pulau Alor)ではなかろうか。豪北一帯を占領中(注:帝国陸軍は、当時、西部&中部ニューギニア、小スンダ、セレベス、モルッカ地域・海域など、豪州の北方エリアを豪北地域と総称していた)、日本軍はアロール本島にも進駐した。今日の県都カラバヒ(Kalabahi)の眼前に広がる真珠湾(Teluk Mutiara)のモル(Moru)に水上基地を設置、アロール島東部にも前進基地を設けた。また、カラバヒ市の北側の山岳地帯では、コーヒー栽培にも着手したと言われている。その跡地は現在、コピディル(Kopidil)と呼ばれる村として残り、今でもコーヒー栽培が続いている。村人のお年寄りは今でも、日本の唱歌や軍歌を覚えている。さらに、パンタール海峡に浮かぶプラ(Pura)島に日本軍が開校した国民学校は、それまでのオランダ植民地支配政府による愚民化政策を覆し、すべての子供たちを“強制的に”通学させることによって、島の歴史で初めての教育機関となった。『学校に来ないと、先生が家までやってきて、子供をビンタ。親も怒鳴られた。しかし、そうした日本軍の強制的な教育があったからこそ、プラ島の子供たちは賢くなり、やがて独立後、多くの県指導者がこの島から誕生した。村人たちは、一方的に他国の戦争に巻き込まれたが、少なくとも教育面から見た場合、日本軍が果たした役割は小さくなかった』---プラ島出身で県政府の水道局のトップを務めるカレル氏はそう語る。
さて、日本軍による数年間の軍事支配以前、アロール島や西隣のパンタール島など今日のアロール県(Kabupaten Alor)を構成する地域は、ヌサンタラの他地域同様に、長年オランダ植民地支配下にあった。そして20世紀初頭に本格的なキリスト教の布教が始まると、オランダ人による写真や文章による、同島のドキュメンテーションが始まった。それらが現存するアロールの「過去」を紐解く唯一の資料となっている。インドネシア文化宮(GBI)がオランダから入手した画像で、アロールの昔の姿をシリーズで再現してみたい。
上は、樹皮を作っている作業を撮影したものと思われる。丸太の上に樹皮を置き、棒でたたいて平たくする作業だ。樹皮は、衣服として用いられていた。現在でも、コピディル村には男物の樹皮製腰巻が残っている。
イカット(絣)もしくはソンケット(縫取り織)作りの光景。二階建の家の、高床式の一階での作業と思われる。
アロール独特の、中心を向き、何重もの輪になって反時計回りに移動するレゴレゴ(Lego-Lego)ダンス。男女の出会いの場ともなったレゴレゴ・ダンスは、今でもアロール本島の村々で演じられている。
戦士の姿を捉えたものだろうか。キリスト教が浸透する以前は、部族間戦争が頻発していたと言われる。
【参考ブログ】
アロール島の謎の壺(2) (Priuk Ajaib Pulau Alor, NTT) (2)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_30.html
アロール島の謎の壺(Priuk Ajaib Pulau Alor, NTT)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_29.html
アロール島で潜る(12) Diving di Pulau Alor・ Pantar, NTT(12)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_27.html
アロール島で潜る(11) Diving di Pulau Alor・ Pantar, NTT(11)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_26.html
アロール島で潜る(10) Diving di Pulau Alo &Pantar, NTT(10)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_25.html
アロール島で潜る(9) Diving di Pulau Alor & Pantar, NTT(9)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_24.html
アロール島で潜る(8) Diving di Pulau Alor & Pantar, NTT(8)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_23.html
アロール島で潜る(6) Diving di Pulau Alor & Pantar, NTT(6)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_20.html
アロール島で潜る(5) Diving di Pulau Alor & Pantar, NTT(5)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_16.html
アロール島で潜る(4) Diving di Pulau Alor & Pantar, NTT(4)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_14.html
アロール島で潜る(3) Diving di Pulau Alor & Pantar, NTT(3)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_13.html
アロール島で潜る(2) Diving di Pulau Alor & Pantar, NTT(2)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_12.html
アロール島で潜る(1) Diving di Pulau Alor & Pantar, NTT(1)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200811article_11.html
第7回アロール県エキスポ画像リポート(2)Expo Alor ke-VII(2)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200808article_2.html
第7回アロール県エキスポ画像リポート(1)Expo Alor ke-VII
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200808article_1.html
第7回アロール・エキスポ情報(Expo Alor ke-VII)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200807article_2.html
オスカルさんの新ブティクがオープン(Butik Oscar Lawalata Culture)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200805article_12.html
アロール県エキスポでオスカルさんのファッションショー
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200708article_5.html
第6回アロール県エキスポで日本の竹製品を紹介
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200708article_4.html
第6回アロール・エキスポ情報(Expo Alor ke-VI)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200706article_11.html
アロール県がタマンミニにパビリオンをオープン
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200704article_4.html
Mr.おじいさん&Mrs.おばあさんコンテスト
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200611article_5.html
アロール島でミスコンを主催
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200611article_4.html
世界で二番目に美しい海中公園アロール島
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200611article_3.html
第5回アロール・エキスポで日本の絣&着物を展示
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_7.html
第5回アロール・エキスポで寿司を握る
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_6.html
アロール島事典(日本語): http://alor.hp.infoseek.co.jp/
アロール県政府公式ホームページ(インドネシア語)
http://www.alorkab.go.id/
アロール県Website(英イ語): http://www.alor-island.com/
インドネシア文化宮(GBI)活動記録
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_2.html
インドネシア文化宮活動記録(インドネシア語)Kegiatan GBI
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_4.html
「じゃかるた新聞」の「アロール島探訪」シリーズ記事
2002年5月28日 じゃかるた新聞掲載
アロール島探訪(1) 海辺で紡ぐイカット 伝統手法で民力向上
http://www.jakartashimbun.com/pages/alor01.html
2002年5月29日 じゃかるた新聞掲載
アロール島探訪(2) 連帯感を生む踊り 木に繋がれたブタ
http://www.jakartashimbun.com/pages/alor02.html
2002年5月30日 じゃかるた新聞掲載
アロール島探訪(3) ダイバー憧れのサンゴ礁 海の男が差し出す魚と酒
http://www.jakartashimbun.com/pages/alor03.html
2002年5月31日 じゃかるた新聞掲載
アロール島探訪(4) 海を渡ってきた銅鼓 今も生活に溶け込む
http://www.jakartashimbun.com/pages/alor04.html
2002年6月1日 じゃかるた新聞掲載
アロール島探訪(5) 島の文化を全国に宣伝 村へ戻ろう運動を展開
http://www.jakartashimbun.com/pages/alor05.html
Alor Divers(パンタール島)
http://www.alor-divers.com/
la P’tite Kepa(ケパ島)
http://www.la-petite-kepa.com/
Dive Alor(アロール島)
http://www.divealor.com/
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