東部インドネシアの旧日本軍航空基地(109) Bandara DaiNippon(109)ボルネオ島: インドネシア文化宮(GBI-Tokyo)

2009年12月30日

東部インドネシアの旧日本軍航空基地(109) Bandara DaiNippon(109)ボルネオ島

2008年12月2日に連載を開始した『東部インドネシアの旧日本軍航空基地(Bandara Dai Nippon)』シリーズは、西部ニューギニアのバボ(Babo)を第1号に、2009年5月19日のボルネオ島の第108号まで回を重ね、以降、ロテ島の伝統楽器ササンドゥ特集や『ニューギニア未帰還兵展』などのシリーズのため中断していた。太平洋戦争の開戦から68周年。ますます遠のく“先の大戦”の記憶。たとえ幾万の旧日本軍将兵・軍属の遺骨が、特に西部ニューギニア周辺域に、現在まで“放置”されたままであっても、時は無情にもその歩を進めている。

現在でも、インドネシア東部地域に残る幾百もの日本軍が建設した飛行場。太平洋戦争、ことにニューギニア戦は、日本軍による飛行場建設、そして連合軍による飛行場奪取の構図で展開していった。飛行場の設営にあたって、多くの日本人、台湾人、朝鮮半島出身者、インドネシア人、地元パプア人の血と汗が滑走路に浸み込み、そして、それらの飛行場を死守するための戦闘で、幾万もの将兵・軍属が玉砕を余儀なくされた。さらには、銃を一発も撃つことなく、飢餓と熱帯特有の病魔を“敵”に、転進作戦という名の密林の敗走の中で、同じく幾万もの命が、虫けら同然に、その最期の時を迎えた。

“土木戦争”とも言うべき飛行場建設競争に敗北した日本軍。とは言え、飛行場が完成した時点で、もはや友軍の戦闘機や爆撃機が飛来することはほとんどなかった。制海権・制空権はすでに連合軍の掌中にあった。強いて言えば、友軍機がやって来るあてもない、丸腰の飛行場を、それでも敵の空爆から死守しようと孤軍奮闘したのは、野戦高射砲部隊だけだったともいえる。

『東部インドネシアの旧日本軍航空基地(Bandara Dai Nippon)』シリーズは、今号と次号で終了し、可能であれば、近い将来『西部インドネシアの旧日本軍航空基地』シリーズに着手してみたいと思っている。今回はボルネオ（カリマンタン）島北部のマレーシアのサバ州、サラワク州、そしてブルネイに残る旧日本軍飛行場にしてついて記す。

昭和16(1941)年12月16日、第18師団の3大隊基幹から成る川口支隊（歩兵第35旅団長川口清健少将）は、英領ボルネオのミリ(Miri)付近に上陸、12月25日にはクチン(Kuching)飛行場を占領した。川口支隊は、その後、ミリを根拠地に、英領ボルネオのサンダカン方面を占領すると共に、捕虜となっていた邦人の救出作戦などを進めた。また、12月27日～翌昭和17(1942)年1月12日の間、川口少将はブルネイ(Brunei)に入り、ブルネイ王との会見などを通じて、同地も掌握していった。

現在のラブアン(Labuan)空港（衛星画像）。滑走路の長さは2,300m。マレーシア政府は、同空港を地域のハブ空港にと計画している。