日本とアジアの戦争記録映画と戦争体験者の声を聴く 8月9~13日

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かのゲーテが言っている。
『歴史を書くのは、過去を脱却する一つの方法である』
『過去が変えられないのなら、変えるべきは、未来だ』

過去を記録することは歴史を刻むことだ。あの“先の大戦”から65年。また8月15日がやってくる。65年という数字が歴史的な“節目”とは思えないが、8月6日、“原爆の日”、広島の平和記念式典に国連事務総長そして米大使が初めて参列した。

人類史上初の原爆“被害者”としての広島は、永遠に語り継がれ、戦争の悲惨さを伝えると同時に、翻って世界平和の希求の一つの基点とすることに異論はない。一方で、“加害者”としての広島が、東南アジア各地で記憶されていることも忘れるべきではない。広島編成の第5師団が通過、駐留したマレーシアやインドネシアで戦時中に起きた、幾つかの住民虐殺事件に同師団が関与していたことは否定できない。例えば、マルク州の西東南マルク県のババル(Babar)島の虐殺事件は、今でも地元住民に鮮明に記憶されている。彼らにとって、広島の被爆は、その復讐心を満たす結果となっている。

さて、戦後65年目の節目に、知人の映画プロデューサー・吉丸昌昭氏が、「戦後65周年記念特別企画」と題して、来る8月9日~13日、都内で上映会と講演&シンポジウム&写真展(安島太佳由の『要塞列島』)を実施する。吉丸氏は、これまでインドネシア文化宮(GBI)で上映した幾つかの戦争関連ドキュメンタリー映画を制作した、まさに“過去の記録人”だ。


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詳細は、同氏のブログに譲るとして、上映スケジュールは以下の通り。

2010年8月9日(月)会場は座・高円寺2
第1部(無料): 10:00~13:00 「忘れられた皇軍(大島渚)」、「ニューギニアに散った16万の青春(牛山純一)」
第2部(\1,000): 14:00~17:40 「シンポジウム(戦場を語り継ぐ)」映画「語らずに死ねるか(長尾栄治)」&「続・語らずに死ねるか(長尾栄治)」

2010年8月10日(火)~13日(金)なかのZERO本館
第1部(無料):10:00~12:00
第2部(\1,000):13:00~17:00

10日
第1部:「生きている海の墓標 トタックの海底をゆく(大島渚)」「生きている玉砕の島 サイパンの海底をゆく(大島渚)」
第2部:講演「玉砕」 映画「語らずに死ねるか」「続・語らずに死ねるか」

11日
第1部:「女たちの太平洋戦争&2」
第2部: 講演「女性たちの戦場」 映画「語らずに死ねるか」「続・語らずに死ねるか」

12日
第1部:「ニューギニアに散った16万の青春」
第2部:講演「死の戦線ニューギニア」 映画「語らずに死ねるか」「続・語らずに死ねるか」

13日
第1部:「忘れられた皇軍」「あの涙を忘れない!日本が朝鮮半島を支配した36年間(牛山純一)」
第2部:シンポジウム「シベリア抑留」 映画「語らずに死ねるか」「続・語らずに死ねるか」


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【吉丸昌昭氏プロフィール】

吉丸昌昭(Yoshimaru Masaaki)       
1940年、中国済南(チーナン)生まれ。1946年、中国から引揚後、長野県安曇野へ。1964年、日本大学芸術学部映画学科撮影コース卒業。1966年、フリーランス・カメラマンとして独立。1975年、(株)日本映像記録センター入社。日本テレビの人気番組『すばらしい世界旅行』、『知られざる世界』などの番組でカメラマン。1986年、(株)ユニモトを設立、代表取締役兼チーフプロデューサー。2004年、芸術文化振興基金の助成を受け、ドキュメンタリー映画「二つの故国をつなぐ歌」を制作。近く、ドキュメンタリー映画「語らずに死ねるか! 無名の元兵士たちの」を発表。


【長尾 栄治氏プロフィール】
福島県出身。
1995年 日本大学芸術学部映画学科卒業。(株)ユニモト入社。
以後、演出助手を経て、同社映像製作部で演出(監督)を担当。
<主要作品>
2001年 「昭和と戦争」全8巻
2002年 「大町高校100年物語」
2004年 「ノスタルジック満州」
2005年 「太平洋戦争」全10巻
2007年 「二つの故国をつなぐ歌~Diva早春賦をうたう~」
2009年 「語らずに死ねるか!~無名の元兵士の声~」


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【参考ブログ】

語らずに死ねるか
http://katarazuni.blog20.fc2.com/

ドキュメンタリー映画「Silent After War」&「語らずに死ねるか」上映会
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200905article_23.html

パプアニューギニア・セピック川探検ドキュメンタリー映画鑑賞会のお知らせ
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200902article_17.html

アチェのサクラさんが来日・上映会&懇親会(Sakura Aceh ke Negeri Sakura)
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200804article_1.html

映画『二つの故国をつなぐ歌』上映会のお知らせ
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200704article_2.html

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    Excerpt: <img class="emoji" src="https://blog.seesaa.jp/images_w/emoji/hdeco/hdeco092.gif" />蝉時雨の高まりと共に、また終戦記念日が目の前に迫っている。あれから65年。戦場体験者は概ね85の齢に達している。既報のように、2010年8月9日、『日本とアジアの戦争記録映画と戦場体験者の声を聴く.. Weblog: インドネシア文化宮 racked: 2010-08-10 11:27