Google Earthの画像に見る尖閣諸島“情報戦” Kepulauan Senkaku

2010年11月8日、国会では自由民主党政務調査会長の石破茂元防衛庁長官が質問の中で、中国の「三戦」について述べた。すなわち「世論戦」、「心理戦」、そして「法律戦」だと。しかし、「情報戦」の言葉はない。一連の流れを見ていると、インターネットの世界で着実に“情報戦”が展開していることがよく理解できる。
インドネシア文化宮(GBI)のブログでは、Google Earthの衛星地図を多用させてもらっている。画質が余りよくないエリアもあるが、俯瞰で全地球を眺めることができる同地図は、架空世界とはいえ、世界旅行をしたような気持になり、重宝している。
さて、グーグル・マップについては、先に外務省が抗議し、地図上の中国語標記である「釣魚島」を削除するよう求めたが、グーグルは、領土の主権を巡っては、異なる主張を標記・記述する方針で、日本側の修正要求を拒否したとされる。いわば中立の立場をとったということだ。
確かに、Googleマップ(http://maps.google.co.jp/)で見ると、現在でも、「尖閣諸島」と「釣魚群島」の両標記がある。魚釣島の上には、「魚釣島」と「釣魚島」と記されている。「魚を釣る島」と「釣る魚の島」と意味的には同じだが。同マップの航空写真でも、同様の標記がある。
一方、「Google Earth」で見ると、魚釣島には「魚釣島」、「石垣市」、「尖閣諸島」と、日本側の立場に基づいた標記がある。しかし、この「Google Earth」の魚釣島では“情報戦”の火花が激しく散っている。島の陸地部分や周辺には、70枚以上の画像が添付されている。それらは「Panoramio」の画像だ。写真共通サイトであるパノラミオは、審査を経由してGoogle EarthやGoogleマップ上に掲載される。
で、Google Earth上で、魚釣島のパノラミオ画像を眺めてみると、あるわあるわ、日本・中国・台湾・韓国などから投稿されたたくさんの画像が。どういった審査過程があるのか知る由もないが、一見して“有り得ない”画像もちらほら。
例えば、中国の潜水艦の画像。魚釣島の東部海上に貼り付けられている。タイトルはなく“Untitled”となっている。そして、「中国領土」と題した画像には、一見、“国境の碑”のような石碑が。存在しない碑であろうが、貼り付けることによって、あたかも現地に建っているかのような印象を与えている。ちなみに潜水艦の画像に関しては「この写真の位置は審議中です」とパノラミオに説明されている。
日本人がアップした何枚かの画像は、あきらかに海上保安庁が撮影した以外には考えにくいものだ。おそらく、海保の広報資料としてかつて公表されたものを利用しているのであろうが、これらの画像が海保公表以外のものであるとすれば、これも“流出”とされるのであろうか。
ちなみに、日韓でもめている竹島(韓国名独島=Dokdo)をGoogle Earthで見ると、添付画像はほぼ全ての画像が韓国サイドからアップされたもので、実効支配の様子が伺える。同様に、北方四島に付加されたパノラミオ画像も、全てがロシア側からアップされたものだ。
“情報戦”は、民間人主導で、Google Earthの尖閣諸島上で展開している。中には、削除されたようではあるが、同島周辺で日本船が不法捕鯨をしている、との画像まである。たかが地図なのか、されど地図なのか。ネット上で進む領土紛争。画像の数は、そのまま“固有の領土”を主張するパワーなのかもしれない。













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