画家ニケン・ララサティ個展開催まで10日 Pameran Tunggal Pelukis Niken
ジョグジャカルタから画家ニケンさんの絵画が無事到着。じゃかるた新聞との共催で実施する『画家ニケン・ララサティ個展“ドラナン・アナック(子供の遊びの世界)”(Pameran Tunggal Pelukis Niken Larasati, Dunia Dolanan Anak)』の第一難関がクリアされました。これから額装作業が始まります。
インドネシア文化宮(GBI)にとって9回目となる絵画展。初めてのインドネシア女性画家の個展です。ニケンさんもガルーダ・インドネシア航空の支援によって来日が確定しました。ハメンクブウォノ10世(Sri Sultan Hamengkubuwono X)ジョグジャカルタ特別州知事も今回の個展開催に大きな期待を寄せています。
あと10日でオープニングです。東日本大震災一周年を控える日本。某テレビ局が言うような“災後”が未だ訪れていない社会が間違いなく存在する東日本。こんな状況下で絵画展を実施することに喜び100%は感じません。しかし、それでも日本史そして世界史は新たなページを日々刻んでいます。
科学技術を万能と過信し、大自然の営みや神の世界さえコントロールできると尊大になった人間。その昔、世界中の人々はエコロジカルに生き、自然との共生を旨としました。生ある生き物として、大自然への畏怖と「生かせてもらってます感」をベースに、多くの場合、過去の歴史に学んできたはずです。
平和は戦争のための準備期間。戦争は平和のための準備期間とも言います。愚かな、人間という生命体は、日本に限らずとも、“その昔”の時代からの変革や革新を良いものとして新たな社会を創ってきました。そしてその結末は?
日本同様に、赤道直下のインドネシアでも、その昔の子供たちの遊びが駆逐され、日本や中国製のコンピュータ・ゲームが子供たちのハートを掴んでいます。これは“進化”なのでしょうか。これは“豊か”なのでしょうか。答えに窮します。画家ニケンがこだわる“子供の遊び”。人が人と遊んだ時代。人が機械と遊ぶ時代。ニケンさんは、その過渡期の時代を描き出そうとしています。
【名称】 画家ニケン・ララサティ個展 “ドラナン・アナック(子供の遊びの世界)”
Pameran Tunggal Pelukis Niken Larasati, Dunia Dolanan Anak
【主催】 インドネシア文化宮(GBI) & じゃかるた新聞
【期間】 2012年3月17日(土)~6月16日(土)11:00-17:45。日曜・祝日は閉館。また以下の土曜日も閉館となります。2012年3月24日、4月7日&4月21日、5月19日、6月2日。さらに、激しい風雨を伴う悪天候、さらに取材活動に伴って事前通告無しに、閉めることもありますので、予めご了承お願い致します。
【展示品】 新作計22点。インドネシアの子供の遊び道具。
【場所】 インドネシア文化宮(GBI) JR高田馬場駅より徒歩約6分。東京富士大学高田記念館正門向かい側のビル1階(添付地図参照)東京都新宿区下落合1-6-8(TEL:03-5331-3310)
【入場】 無料
【備考・1】 オープニングに合わせてニケンさんが来日しますので、講演会やインドネシアの子供の遊びの幾つかのデモンストレーションも計画しています。詳細は確定次第、あらためて告知いたします。
【備考・2】 東京での展示会終了後(2012年6月中旬)、同個展を東京以外の地で実施したい個人・団体からの要望を受け入れます。特に東日本大震災被災地からの関心に即応したいと思っています。
ちょうど一年前、中部ジャワの古都ジョグジャカルタ郊外の水田地帯に暮らす女性画家ニケン(Niken Larasati)さんの自宅兼アトリエを訪ねた。その1年と数ヶ月前には、北方に聳え立つ“火の山”ムラピ(Merapi)山が、138年ぶりに大噴火を起こした。
「絆(きずな)」の大切さが急浮上した東日本大震災以降の日本。一方、ジョグジャカルタではその「絆」社会が急激に色褪せている。少なくと子供たちの間で---とニケンさん。
『その昔、私たちが子供だった頃は、まだまだ友達間に暖かい絆がありました。家が経済的に貧しいのか、それとも豊かなのか、子供たちにとっては全く関係のないことでした。ところがどうでしょう今は。テレビゲームや高価なおもちゃが溢れるのと並行して、子供たちのきずなはどんどん擦り減ってきています。だから、私は、あの昔のメルヘンのような思い出をキャンバスに残したいのです』
身の回りにある物を工夫して遊び道具に変えた昔の子供たち。それは日本もインドネシアも同じだった。空き缶が一つあれば、小石が一個あれば、縄が一本あれば、それだけで子供たちは夕暮れ時まで楽しい時を過ごせた。男の子でいえば、地域には必ずガキ大将がいたものだ。彼のリーダーシップの下、子供たちは各々が創意工夫で、幾つもの遊び道具を作り、色々な遊びに時を忘れた。
“昔の遊び”は時代の変遷と共に、世界の至る所で消滅の危機に瀕している。電子ゲーム機やオンラインゲームの興隆が昔の素朴な遊びを駆逐しつつある。それはインドネシアでもとっくに起きている。今や戦争さえゲーム感覚の電子戦だ。そこでは血も流れなければ、死体を目視することもない。現実に起きた事実であっても、仮想空間のゲームに映る。
友達がいなくても一人で楽しむことができるゲーム機。一方、友達が集まって初めて成立した昔の遊び。機器が一方的に決める現代の遊びルール。しかし昔の遊びのルールは伝承であったり、時には子供たち自身がアドホックに決めた。遊び道具を生み出す創造性、そして正直さや寛容な姿勢、そして負けた時の潔さを重要視した。友達同士の絆が深まり、社会性の訓練にも繋がった。スポーツ塾など行かなくても、運動神経向上に役立つ遊びに溢れていた。
でも時代は変った。子供たちの遊び方も変わった。『伝統的な遊びが持つ多くの素晴らしい点を考慮する時、今私たちが伝承遊びを保存し、インドネシアの文化遺産として再びインドネシアの、そして世界の若い世代に紹介していくことは間違ってはいない』---ニケンさんが語る。
インドネシア文化宮(GBI)では、1998年の創設以来、これまでに計8回の絵画展を実施しました。それらは:
『ハルディ個展』(1999年4月18日~9月17日)
『ダルマジ個展』(2000年4月1日~6月30日)
『クリヨノ個展』(2001年6月23日~8月31日)
『アチェ人画家マフディ個展』(2002年1月19日~6月29日)
『パプア人画家ウエンス個展』(2003年4月12日~6月14日)
『カリマンタン島グループ絵画展』(2004年10月16日~12月18日)
『スラウェシ島グループ絵画展』(2005年9月17日~2006年2月24日)
『トラジャ人画家マイク個展』(2007年7月7日~9月29日)
自宅兼アトリエ&ニケンさんの家族
【インドネシア文化宮への道順】
JR高田馬場駅より徒歩約6分。さかえ通りを進み、神田川の橋を越え、新宿区立図書館方向へ。東京富士大学高田記念館正門の向かい側のビル1F(東京都新宿区下落合1-6-8 TEL:03-5331-3310)
【参考ブログ】画家ニケン・ララサティ個展開催のお知らせ Pameran Tunggal Pelukis Niken
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_6.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_2.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201202article_29.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201202article_26.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201202article_12.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201202article_6.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201202article_5.html
来る3月初のインドネシア女性画家個展を開催予定 Pameran Pelukis Wanita RI
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201201article_26.html
来る3月、初のインドネシア女性画家個展を企画中 Pameran Pelukis Wanita RI
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201201article_22.html
ニケンさんが描くジャワ島昔の子供の遊び Dolanan Anak di masa lampau
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201103article_4.html
ジョグジャの女性画家ニケン・ララサティさんNiken Larasati, Pelukis Yogya
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201103article_6.html
インドネシア文化宮活動記録
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_2.html
インドネシア文化宮活動記録(インドネシア語)Kegiatan GBI
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_4.html
grahabudayaindonesia.at.webry.info/201203/article_2.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201202article_29.html
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