画家ニケンさんの講演(動画リポート3) Ceramah Niken Larasati di GB

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今日(2012年4月5日)、神田川沿いのソメイヨシノが咲きほこる中、元インドネシア共和国教文化大臣のワルディマン・ジョジョネゴロ(Prof. Dr. Ing. Wardiman Djojonegoro)さんがインドネシア文化宮(GBI)を訪れる。日本の春を堪能するため、伊勢、奈良、京都、金沢などを巡って東京に戻ってくる。

ワルディマンさんは、今から14年前、GBIがオープンした1998年5月15日、その創設をインドネシア政府元高官として立ち会い、テープカットした人物だ。昨年喜寿を祝い、来る6月22日78歳になる。スハルト政権の末期に教育文化大臣を務めたとはいえ、極めてリベラルな思考と行動が特筆される。

さて、ワルディマン氏は、女性画家ニケン・ララサティ(Niken Larasati)さんの、インドネシアの子供をテーマとした作品群をどのような思いで鑑賞するのだろうか。とても興味あるところだ。消え去ろうとしている伝統的な子供たちの遊び。元教育文化大臣として、さぞや感慨深げに眺めることだろう。

主役のニケンさんは、4月2日に帰国し不在。ジャワ島の古都ジョグジャカルタで家族や友人たちと再会し、東京での思い出を語り続けていることだろう。滞日中、幾度か地震の洗礼を受けたが、「今泊まっている木でできた家って、案外地震には強いんだよね」と、2006年5月27日ジョグジャカルタを襲った大地震を回顧しながら語っていた。


Ceramah Pelukis Niken Larasati di GBI-Tokyo, Jepang(3) 画家ニケン講演会
http://youtu.be/c6JQF3SMa80


Ceramah Pelukis Niken Larasati di GBI-Tokyo, Jepang(2) 画家ニケン講演会
http://youtu.be/kkNY9kE5UWE


Ceramah Pelukis Niken Larasati di GBI-Tokyo, Jepang(1) 画家ニケンさん講演会
http://youtu.be/cOpF8i9rAPU

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第105期インドネシア理解講座の光景


画家ニケンが語るインドネシア子供の遊び2Niken Larasati berbicara ttg Dolanan Anak
http://youtu.be/h-iz-IViue4


画家ニケンが語るインドネシア子供の遊びNiken Larasati berbicara ttg Dolanan Anak
http://youtu.be/R9Mog3Q3Skw


画家ニケンさん東京個展Pameran Tunggal Niken Larasati di GBI-Tokyo, Jepang(Mar-Juni 2012)
http://youtu.be/c6PVprNRIh4

インドネシア中部ジャワの古都ジョグジャカルタ在住の女性画家ニケンさん。インドネシア女性画家としては初めての個展が、2012年3月17日(土)、インドネシア文化宮(GBI)で始まりました。邦字紙「じゃかるた新聞」との共催で実施する今回の展示会では、時代の変遷と共に蚕食の危機にある、インドネシアの伝統的な子供たちの遊びを回顧します。

日本同様に、赤道直下のインドネシアでも、その昔の子供たちの遊びが駆逐され、日本や中国製のコンピュータ・ゲームが子供たちのハートを掴んでいます。これは“進化”なのでしょうか。これは“豊かさ”なのでしょうか。答えに窮します。画家ニケンがこだわる“子供の遊び”。人が人と遊んだ時代。人が機械と遊ぶ時代。ニケンさんは、その過渡期の時代を描き出そうとしています。


ニケン・ララサティ個展に寄せて
Sambutan Gubernur DIY Yogyakarta, Hamengku Buwono X

ジョグジャカルタ特別州知事
メンクブウォノ10世


親というものは子供が遊ぶことを禁じ、勉強ができるように仕向けるものだ。「Play and Physical Quotient」あるいはPQは、子供たちが同年齢の子供と比較して、色々な行動をしたり遊びをする中でその身体能力を評価する基準である。このPQテストは、子供たちの幾種もの身体能力---たとえば、障害物競走、そしてボールを壁に向かって投げる---そして子供たちの生命力を測るための、いわば「Body Mass Index」の計測だ。

タイの子供たちの多くは、時間があれば、家で両親の手伝いをし、そして日本の子供たちは家の外で遊ぶ。ベトナムではスポーツに親しむ。一方、インドネシアでは、読書やコンピューター遊びをより好む。インドネシア、タイ、そしてベトナムの子供たちの多くは、親たちによって外遊びを禁じられがちだ。服が汚れるというのがその理由だ。さらに、学習やそれに準じたものの方が、遊びよりもいいと思っている。しかし、親は認識しなければいけない。遊びこそが子供の発達にとって「Window of Opportunity」であることを。

IQ とEQを向上させる一番良い方法は遊びにある。創意工夫のプロセスを通じて、そしてルールを知り、認識力を高める。なぜならば、社会で成功する人物は、いつも知力に優るとは限らない、しかし社会的な教養や運動能力にも優れている。

それが故、インドネシアの伝統的な子供の遊びを、絵画を通じて再び知らしめようとするニケン・ララサティの試み---2012年3~6月に日本の東京・新宿で個展を開催---は称賛に値する。

その昔のイメージと言えば、女の子たちはクンベン(Kemben・胸当て)、そして男の子たちは葉っぱの鉢巻だった。ドラナン(Dolanan・遊び)を通じて、友達間の社会的相互作用や情緒に触れ、そしてその結果「Tepa Sarira(他者を思いやる気持ち)」に溢れた世代として成長した。一方で、伝統的な遊びは心理学的に子供たちの創造性を刺激し、周辺社会と神とに対して、子供たちを近づけることができた。

しかし残念なことに、そういった伝統的な遊びは、親たちが教えなくなったため、子供たちに引き継がれていない。私は切望する。質素さや仲間であることを教える昔の遊びが、再び子供たちに伝えられることを。なぜならば、伝統的な遊びは、社会性や情緒面における子供の発育の均衡に役立ち、さらに相互扶助や自制といった能力をも養う。遊びは楽しくさせ、そして児童心理の発達に功を奏する。なぜなら、子供たちは遊びを通して積極的に身体を成長させることができる。

知っての通り、文化と外交によるコミュニケーションは、とっても大事なものとなっている。特に、この地球上の各地で暴力が燃え上がり、戦争が暴れまわる世にあっては。より一層、今こそ、人間は相互理解を必要とし、平和を渇望している。民族間の相互理解を深めるため、今回の個展のような文化交流が展開されることが大切だと認識している。
なぜならば、民族間の相互理解の達成は、個々の間における相互作用で叶えられるものであるからだ。個とは、あるコミュニティにおける最も小さな単位である。もしも個人間における相互作用がうまく進めば、文化交流や文化コラボレーション、文化転換、そして民族間の理解は必然的に達成される。

この観点からしても、私はインドネシア文化宮の支援によって日本で開催されるニケン・ララサティ絵画個展を歓迎し、高く評価したい。なぜなら、絵画はユニバーサル言語である。この個展を通して、インドネシアの“ドラナン(遊び)”に理解が深まり、そしてインドネシアの文化、殊にジョグジャカルタの文化紹介が促進され、さらに民族間の文化親善関係の強化に繋がれば願ってもないことだ。

個展を祝すと同時に、この展示会によってニケン・ララサティがこれからもずっと創作意欲に燃える動機になればと願うものである。
2012年2月3日

名称】 画家ニケン・ララサティ個展 “ドラナン・アナック(子供の遊びの世界)”
      Pameran Tunggal Pelukis Niken Larasati, Dunia Dolanan Anak 

主催】 インドネシア文化宮(GBI) & じゃかるた新聞
 
期間】 2012年3月17日(土)~6月16日(土)11:00-17:45。日曜・祝日は閉館。また以下の土曜日も閉館となります。2012年3月24日、4月7日&4月21日、5月19日、6月2日。さらに、激しい風雨を伴う悪天候、さらに取材活動に伴って事前通告無しに、閉めることもありますので、予めご了承お願い致します。

展示品】 新作計22点。インドネシアの子供の遊び道具。

場所】 インドネシア文化宮(GBI) JR高田馬場駅より徒歩約6分。東京富士大学高田記念館正門向かい側のビル1階(添付地図参照)東京都新宿区下落合1-6-8(TEL:03-5331-3310)

入場】 無料

備考・1】 絵画展カタログを無料配布致します。

備考・2】 東京での展示会終了後(2012年6月中旬)、同個展を東京以外の地で実施したい個人・団体からの要望を受け入れます。特に東日本大震災被災地からの関心に即応したいと思っています。


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ちょうど一年前、中部ジャワの古都ジョグジャカルタ郊外の水田地帯に暮らす女性画家ニケン(Niken Larasati)さんの自宅兼アトリエを訪ねた。その1年と数ヶ月前には、北方に聳え立つ“火の山”ムラピ(Merapi)山が、138年ぶりに大噴火を起こした。

「絆(きずな)」の大切さが急浮上した東日本大震災以降の日本。一方、ジョグジャカルタではその「絆」社会が急激に色褪せている。少なくと子供たちの間で---とニケンさん。

『その昔、私たちが子供だった頃は、まだまだ友達間に暖かい絆がありました。家が経済的に貧しいのか、それとも豊かなのか、子供たちにとっては全く関係のないことでした。ところがどうでしょう今は。テレビゲームや高価なおもちゃが溢れるのと並行して、子供たちのきずなはどんどん擦り減ってきています。だから、私は、あの昔のメルヘンのような思い出をキャンバスに残したいのです』

身の回りにある物を工夫して遊び道具に変えた昔の子供たち。それは日本もインドネシアも同じだった。空き缶が一つあれば、小石が一個あれば、縄が一本あれば、それだけで子供たちは夕暮れ時まで楽しい時を過ごせた。男の子でいえば、地域には必ずガキ大将がいたものだ。彼のリーダーシップの下、子供たちは各々が創意工夫で、幾つもの遊び道具を作り、色々な遊びに時を忘れた。

“昔の遊び”は時代の変遷と共に、世界の至る所で消滅の危機に瀕している。電子ゲーム機やオンラインゲームの興隆が昔の素朴な遊びを駆逐しつつある。それはインドネシアでもとっくに起きている。今や戦争さえゲーム感覚の電子戦だ。そこでは血も流れなければ、死体を目視することもない。現実に起きた事実であっても、仮想空間のゲームに映る。

友達がいなくても一人で楽しむことができるゲーム機。一方、友達が集まって初めて成立した昔の遊び。機器が一方的に決める現代の遊びルール。しかし昔の遊びのルールは伝承であったり、時には子供たち自身がアドホックに決めた。遊び道具を生み出す創造性、そして正直さや寛容な姿勢、そして負けた時の潔さを重要視した。友達同士の絆が深まり、社会性の訓練にも繋がった。スポーツ塾など行かなくても、運動神経向上に役立つ遊びに溢れていた。

でも時代は変った。子供たちの遊び方も変わった。『伝統的な遊びが持つ多くの素晴らしい点を考慮する時、今私たちが伝承遊びを保存し、インドネシアの文化遺産として再びインドネシアの、そして世界の若い世代に紹介していくことは間違ってはいない』---ニケンさんが語る。


インドネシア文化宮(GBI)では、1998年の創設以来、これまでに計8回の絵画展を実施しました。それらは:

『ハルディ個展』(1999年4月18日~9月17日)
『ダルマジ個展』(2000年4月1日~6月30日)
『クリヨノ個展』(2001年6月23日~8月31日)
『アチェ人画家マフディ個展』(2002年1月19日~6月29日)
『パプア人画家ウエンス個展』(2003年4月12日~6月14日)
『カリマンタン島グループ絵画展』(2004年10月16日~12月18日)
『スラウェシ島グループ絵画展』(2005年9月17日~2006年2月24日)
『トラジャ人画家マイク個展』(2007年7月7日~9月29日)


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ニケンさんと夫のエコさん(ジョグジャカルタの自宅兼アトリエ:2011年2月17日撮影)

インドネシア文化宮への道順

JR高田馬場駅より徒歩約6分。さかえ通りを進み、神田川の橋を越え、新宿区立図書館方向へ。東京富士大学高田記念館正門の向かい側のビル1F(東京都新宿区下落合1-6-8 TEL:03-5331-3310)







【参考ブログ】

画家ニケンさんの講演(動画リポート2-1) Ceramah Niken Larasati di GBI
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201204article_4.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201204article_3.html
画家ニケンさんの講演&ジャワ語講座 Ceramah+Bahasa Jawa Niken
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201204article_1.html
今日、画家ニケンさん講演会+ジャワ語講座 Ceramah Niken Larasati
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_31.html
第105期「インドネシア理解講座」のお知らせ Ceramah Niken Larasati
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_30.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_27.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_26.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_25.html
画家ニケンさん個展(動画2~1)Pameran Dolanan Anak Indonesia
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_24.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_23.html
画家ニケンが描く子供の遊び1~4 Dolanan Anak Tradisional Indonesia
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_22.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_21.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_20.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_19.html
画家ニケン・ララサティ個展開催が開幕 Pameran Tunggal Pelukis Niken
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_18.html
画家ニケン・ララサティ個展今日から Pameran Tunggal Pelukis Niken
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_17.html
画家ニケン・ララサティ個展開催まで1日 Pameran Tunggal Pelukis Niken
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_16.html
画家ニケン・ララサティ個展開催まで2日 Pameran Tunggal Pelukis Niken
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_15.html
画家ニケン・ララサティ個展開催まで3日 Pameran Tunggal Pelukis Niken
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_14.html
画家ニケン・ララサティ個展開催まで一週間 Pameran Tunggal Pelukis Niken
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_10.html
画家ニケン・ララサティ個展開催まで10日 Pameran Tunggal Pelukis Niken
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_8.html
画家ニケン・ララサティ個展開催のお知らせ Pameran Tunggal Pelukis Niken
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_6.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201203article_2.html
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インドネシア文化宮活動記録
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_2.html

インドネシア文化宮活動記録(インドネシア語)Kegiatan GBI
https://gbitokyo.seesaa.net/article/200610article_4.html
grahabudayaindonesia.at.webry.info/201203/article_2.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201202article_29.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201202article_26.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201202article_12.html
https://gbitokyo.seesaa.net/article/201202article_6.html
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