再録『ライラのイリアンジャヤだより』 Surat dari Irja 砂金フィーバー

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砂金フィーバー
今年三月終わり頃、イリアンジャヤ地方新聞、チェンドラワシポストに大きな見出しの記事が出た。「旧コダムでアガス金見つかる」。ジャヤプラの町中心部からコダム付近を流れるアンペラ川の上流で砂金が出ることが発見され、それが一気に砂金探しの大ブームを引き起こした。
海水で土を洗い落とし、砂金を探す

この地域ではアガスというブヨの一種の昆虫がたくさんいることから、地元の人々によりアガス金という名が付けられた。

地元紙の記事によると、事の始めはこの川付近に住むイリアン人男性、ヒマさんがあるとき金のようなものを含んだエビをこの川でつかまえた。何となくこれが気になり、二週間後二人の友人と共に周囲の土を掘り、注意深く探して見たところ、この日だけで二グラムもの砂金を集めることができた。これがきっかけとなりここジヤヤプラでも金がとれるという情報がが地元住民に広まっていった。

地元住民が砂金探しに夢中になるだけではなく、貴金属商人までが積極的に現場まで直接行き住民から金を買い取るようになった。主に華人の貴金属商によるとここでとれる金は二十四カラットの純粋なものであり、実際価格も三月当時で1グラム八万ルピアで買い取りが行われていた。価格は十一月現在1グラム八万七千五百ルピアで買い取られ、十二万五千ルピアで売られる。

砂金探しブームが大きくなるにつれ地元住民はジャヤプラ市いたるところの土を調べ始め、今では金含有率が高いといわれる有名なスポットがいくつかある。その土地の所有者はだいたい五十キロ分ぐらいの土を詰めたサックを一つ5000ルピアで住民に売る。だいたいひとつのサックの土から多くて1グラムの金がとれるので住民の利益も大きい。
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砂金ハンターたちと州都ジャヤプラ

15才のイリアン人少年、サバラ君は毎日学校が終わった後ジャヤプラ港近くの海岸へ向かう。持ち物は土を買うためのお金に中華鍋、そして集めた金を入れるための小さな容器。まず土を買い海中に足場を作る。土を少しずつ中華鍋にいれ、海水を注いでいき鍋をゆする。赤土だけをながす作業を続けると、中華鍋のそこには重たい砂金と砂鉄などが残る。だいたいひとつのサックの土をこうしてこしていくのに一日かかる。そうして後に残ったものを磁石などを使い金だけをよりわける。

 「だいたい平均一日五万ルピアはこれで稼げる。稼いだお金は全部両親に渡している」、とサバラ君。ここに集まり砂鉄探しに熱中しているのは男たちだけではなく小さな子供を連れたお母さん、まだ小学生の子供たちまでそれぞれ自分の中華鍋をもち、赤土で真っ赤に染まった海につかり鍋をゆする。

以前日雇い労働者として港で働いていたマンスルさん。「港で一日働いて得られる日給はたった5000ルピアだった。けれど今ではこの金のおかげで子供のための貯金までできるようになった」、と笑顔。

この砂金探しブームはまだまだ終わりそうにない。(1998.11)


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