再録：西部ニューギニア・ロンベバイ湖ヤピナ島に瞑る日高岩男少佐(54) 2017年3月14日: インドネシア文化宮(GBI-Tokyo)

2019年08月29日

再録：西部ニューギニア・ロンベバイ湖ヤピナ島に瞑る日高岩男少佐(54) 2017年3月14日

ロンベバイ湖のヤピナ島にあった連合軍水挺基地に対する日高岩男少佐率いる鰐工作隊の奇襲攻撃。第二軍（豊嶋房太郎中将））情報班から鰐機関に配属された小泉雅少尉（青山学院大学卒・陸軍予備士官学校卒）は、攻撃時に4名から成る第二班の舟艇長を務めた。

昭和19(1944)年11月25日、モロタイ島で日本軍機の攻撃に遭って破壊された米軍飛行艇PBYのOA-10A型機のシリアル番号「44-33875」機。この機が、同年7月31日、日高岩男少佐率いる鰐工作隊に夜襲をくらった、ロンベバイ湖ヤピナ島の連合軍水艇基地の隊員救助に向かった。そして人事不省の小泉少尉もこの飛行艇で捕虜として連れ去られた。

攻撃時の展開は、正面攻撃班は第一班（日高少佐・藤井少尉外二名）、その左に第三班（徳野曹長・高屋兵長・石田上等兵他一名）。そして小泉少尉外三名の第二班は側面攻撃班、その左に並行して第四班（杉沢軍曹外三名）。戦死者は、第一班の日高岩男少佐、第四班の杉沢武雄軍曹、そして、おそらく第三班だったと推察される村瀬兵長の、計3名。さらに、行方不明者が小泉雅少尉と通信隊の千原恒夫兵長。

千原兵長は、攻撃（昭和19=1944年7月31日未明）の二日後の8月2日、負傷を追いながらも自力で筏を組み、鰐工作隊前進基地まで帰還した。残るは小泉少尉。『雪第三十六師団戦誌』で、小泉元少尉自身がその疑問に答えている。

「ヤピナ島攻撃の際行方不明となった小泉少尉は、敵キャンプに切り込み白兵戦中、自動小銃による胸部貫通銃創を受け、意識を失ったまま、米軍野戦病院に運ばれ、応急手当後濠州ブリスベンにある海軍病院に収容され、手術を受け半年間入院生活を過ごし、メルボルン郊外マーチソン収容所に送られて、そこで終戦を迎え、昭和二十一年二月末、引揚船高栄丸（三〇〇〇トン）に在留邦人数千名とともにシドニー港より乗船、三月下旬に浦賀港に上陸、四月中旬に復員した」

小泉少尉は、未明の日本軍奇襲攻撃から、およそ8～9時間後に救援のために飛来した、Gerard F.Wientje大尉が操縦士を務める米陸軍航空隊第2緊急救助中隊（2nd ERS=Emergency Rescue Squadron）所属の飛行艇・PBY（愛称カタリナ）の、シリアル番号「44-33875」機に捕虜として乗せられ、米豪兵10名と共に、ビアク島の南東沖に浮かぶ、連合軍が急造したオウィ島の飛行場に運ばれ、その後第92総合病院で応急手当てを受けた模様だ。

西部ニューギニア・ロンベバイ湖ヤピナ島に瞑る日高岩男少佐(1)

https://youtu.be/qzaMsL7TRpg

昭和19(1944)年11月25日、モロタイ島で日本軍機の攻撃に遭って破壊された米軍飛行艇PBYのOA-10A型機のシリアル番号「44-33875」機。機種に75の番号が。整備兵の表情に笑顔の余裕がある。撮影は、11月25日の数日前と思われる。まさに、この機が、同年7月31日、日高岩男少佐率いる鰐工作隊に夜襲をくらった、ロンベバイ湖ヤピナ島の連合軍水艇基地の隊員救助に向かった。